在宅ケア・在宅医療はどのような方に向いているのか
院長ブログ 1
理事長・院長の矢ヶ部伸也です。
今後こちらで当院の取り組みをご紹介させていただきたいと考えています。よろしくお願いします。
在宅ケア・医療
現在当法人では在宅ケア・医療に取り組んでいます。
在宅ケア・医療には入院医療には無い利点がたくさんあります。
もちろん、入院医療にも在宅ケア・医療に無い利点がたくさんあります。
どちらかが優れているかと比べることは難しいです。どちらも一長一短あるからです。
病気の状態や治療の方針、治療を受ける方やご家族の希望に入院と在宅のどちらがより適しているのかを考えなければなりません。
在宅ケア・医療はどのような病気の方に向いているのか
今回は在宅ケア・医療がどういった病気の方に向いているかということをご説明いたします。
在宅ケア・医療が向かない状態
「在宅ケア・医療が向かない状態」をまずご説明いたします。
例えば深刻な心臓の病気である急性心筋梗塞や重症のけがである多発外傷などで状態が不安定な方がいらっしゃったとします。こういった方々が在宅ケア・医療をご希望されても、それは難しいです。刻一刻と状態が代わり、その対処に急ぐことがあり、対応の遅れが結果に響いてしまうと予想される病気やけがだからです。
体の状態を細かく観察するためには様々な指標を用います。血圧とか脈拍数、体温、呼吸数、意識状態、不整脈の有無、酸素飽和度などです。重症の方の看護の時にはこういった指標をモニター機器などを使って常時観察しています。もし問題となる変化があればそれに応じた対応をしなくてはいけません。例えば血圧が下がったら点滴を増やしたり、血圧を上げる薬を投与したりします。集中治療室での管理が必要になる場合もあります。
在宅ケア・医療では治療を受ける方はご自宅や高齢者施設にいらっしゃいますから、体の状態をずっと細かく観察することは困難です。つまり、厳密な観察や数分単位で急ぐ対応が必要な方は在宅ケア・治療は難しいのです。
在宅ケア・医療が向いている状態
急激な状態の変化が予想されない方や、根本的な治療が難しい状態の方々を在宅ケア・医療で担当させていただくことが多いです。おもに以下の状態にある方々が在宅ケア・医療を受けていただける方々だと考えています。
1.心不全や呼吸不全、神経難病などの病気があっても状態が落ち着いていらっしゃる方。
2.がんなど根本的な治療が困難な状態で緩和中心の治療を行なっている方。余命が短いと予想される場合(ターミナル期)も。
3.認知症や老衰などがあるために病気が比較的深刻であっても入院に耐えられない方。
他にもいくつか在宅ケア・医療が向いていると思われる状態の方もいらっしゃいますが、現在ではおもにこういった状態の方々に在宅ケア・医療を行なっています。
次回のブログでは在宅ケア・医療を行うときの私たちの考え方についてもう少し述べさせていただきます。
2017.09.05 矢ヶ部 伸也