佐賀市木原の矢ヶ部医院│医療法人純伸会

ジェネリック医薬品について・・・


院長ブログ32

ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品の利点は、先発医薬品の成分の特許が切れているためその分安く製造、販売できるという点です。このことは患者さんの負担の軽減や医療費の削減につながるので非常に良いことです。
(薬が安くても保険点数の加算などで費用が高くつくこともありますので要注意です。)
先発品の製薬会社は利益が減るでしょうが、できるだけ患者さんの費用負担は減らすべきです。

ジェネリック医薬品は、厚生労働省が先発医薬品と同等と認めた医薬品です。先発医薬品の特許満了後に、有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同じ医薬品(※)として新たに申請され、製造・販売される安価な医薬品です。また、製品によっては大きさ、味、においの改善、保存性の向上等、先発医薬品よりも工夫されたものもあります。 
※先発医薬品に効能効果が追加された場合、特許の関係で用法、用量、効能、効果が一時的に異なる場合があります。
※医薬品の価格が下がっても、患者さんのご負担は先発医薬品使用時と変わらないか、上がることもあります。
薬剤師さんとよく相談してください。
※先発医薬品からの変更を希望しても、対応するジェネリック医薬品が製造・販売されていないものもあります。
※在庫が薬局にない場合には、お薬の用意をするのに時間がかかってしまうときもあります。
  • ・・・・いまいちわかりにくいので、喩えを作ってみました。

ポイントは「有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同じ医薬品」です。
有効成分以外の成分はちがっても構いません。

そこで、有効成分を「カルピス®のような希釈して飲むジュース原液」
有効成分以外を「水」 として喩えます。

3つのコップにジュース原液を注ぎます。
3杯とも同じ成分です。

 

 

 

 

そこに水を加えます
①には水道水
②には名水
③には井戸水

 

 

 

 

 

 

 

どれも主成分は同じ、希釈したジュースです。

値段は①が150円、②が250円、③が100円といったところでしょうか。

「ジェネリック医薬品が先発の薬と同じ」というのは、
「この3つのジュースが全部同じ」ということです。

「水の違うけん同じじゃなかろうもん」と思う人は、ジェネリック医薬品と先発品はちがうと考えたほうがいいです。

水道水も名水も井戸水もどれも水ですが、水ではなくて牛乳で薄めても「主成分は同じ」となるのです。焼酎でも。
「牛乳や焼酎で薄めたらおかしかろうもん。別ものやっか。」と思う方もジェネリック医薬品と先発品はちがうと考えたほうがよいです。焼酎で薄めちゃったらカルピス酎ハイですね。

そして、効能・効果が同じかというと、主成分が同じだからと言って効果が同じとは限りません。
※で但し書きに書いてありますが、「同じ」と書いといて但し書きで「ただし違うこともあります」というのは、誤解を生みやすいやり方だと思います。
誤解させといて売りつけるというやり方は詐欺ににていますね。
せめて「似たような効果」と表現してほしいところです。

とある薬は主成分のほかに副成分で胃での主成分の分解を妨げる成分が入っています。
その薬のジェネリック品にはその副成分が入っていないため、主成分の効果が減弱します。

ジェネリックでも先発品と全く同じ効果が期待できたり、先発品よりも効果が勝るものもありますが、効果が落ちるものもあります。これらを押しなべて「ジェネリック医薬品は先発品と同じ効果があります」と宣伝するのはいかがなものかと考えます。

ジェネリック医薬品の推進そのものには賛成ですが、「成分が同じ」「効果が同じ」と誤解を生むような可能性のある表現をする施策には不快を感じています。

薬の種類によって信頼できるジェネリック薬品なのか、あまり信頼できないジェネリック薬品なのか玉石混合の状態です。
われわれ医師もどの薬が信頼できるか、十分な情報が提供されているとは言えない状況です。
そのため当院では押しなべてジェネリックをおすすめすることはしていません。
信頼できる根拠のある一部のジェネリック医薬品は用いています。

もしこのページをご覧になっているジェネリック医薬品メーカーの方がいらっしゃって、「当社の薬は信頼できます!!」という客観的な根拠をお持ちの場合にはぜひお知らせください。根拠が確からしい場合は適応に応じて積極的に処方します。